異物の誤食に対する内視鏡検査と腸切開手術
朝や夕方以降はかなりの寒さになって来た今日このごろ、皆様如何お過ごしでしょうか?
今年も早残り1ヶ月となりましたね〜。
年々一年の長さに対する体感速度が早まって来ている気がしてなりません。
今年の2月におひさま動物病院はオープンし、バタバタと働き、あっという間に年末になろうとしております。。。
今日はまた症例報告を書いていきたいと思います!!
雑種猫 6ヶ月齢 去勢済み
2〜3日前から吐いている、フード食べても水を飲んでも吐いてしまう、との主訴で来院。
いつも元気いっぱいで、ご飯もモリモリ食べてるネコさんが元気なく、食欲も無くなっているとのこと。
問診の中で、3日前にネイル用のスポンジを食べて吐いたとの稟告が。
ネイル用のスポンジ、、、
僕自身は一度もプライベートで使ったことはないのですが、とてもよく見ることがあります、、、
どこでよくみるかといいますと、、、
ネコちゃんやワンちゃん達のお腹の中です!!
こいつです!
足の指の挟まるウレタンなどで出来たスポンジ製品ですが、ワンちゃんネコちゃん達にとって、とても齧りたく素材の様です!!
カジカジするだけでは無く、そのまま飲み込んでしまうと、サイズによっては胃の出口や小腸で詰まってしまい、消化管閉塞を起こします!!
今回も嫌な予感を感じながら、レントゲン検査をしてみると、、、
お腹の右側(向かって左側)にL字型の影が、、、
さらにお腹のエコー検査をみてみると、
エコー検査でも小腸に何やら四角いエコー像が見られてます。。。
完全に異物による消化管閉塞をおこしています!!
すぐにオーナー様と相談して、
・まず全身麻酔下で内視鏡検査での異物の摘出を試みる
・内視鏡で取れない場合、即座に腸切開手術による異物摘出に切り替える
という事で内視鏡検査を開始!
内視鏡で見てみると、、、
小腸にピンク色の何かが、、
ありました!!
しかし、かなり狭い場所で内視鏡の先から出てくるマジックハンド上の鉗子が展開出来ない、、
1時間以上格闘していましたが、画面に異物が見えているのに掴めない。。。
とても悔しい気持ちでいっぱいになります。
このウレタン製やスポンジ状の異物は鉗子で一部が掴めてもポロポロと千切れてしまう事が多く摘出が難しい事があります。。
今回のケースも狭い消化管にガチガチに異物が詰まっている為、異物の端を掴んでもポロポロ崩れて引っ張れず、摘出が困難でした。。。
残念ながらこの子の場合、腸切開へ切り替える事に
スタッフ協力の下、素早く毛刈り・消毒を行い開腹手術へ!!
お腹を開けてみると、、、
内視鏡で見た通りにバチバチに小腸に詰まっていました!!
腸管の一部を切開し、鉗子にて異物を掴み出し、切開部を縫合します。
ピッタリくっつきました!
縫合後に少し生理食塩水を消化管に注入し、縫合部の漏れがないかリークテストしましたが問題なし!!
その後、お腹を縫合し麻酔から覚まして手術終了です。
今回取れた異物は、、
正にレントゲンに写っていたL字型のスポンジの一部です!!
その後、術後の経過も問題なく、術後24時間は絶食にしましたが2日目から流動食を開始し、問題無く消化してくれました。
以前は腸切開後は数日絶食するという管理がされていた様ですが、、、
最近は縫合部に負担の少ない流動食などから術後早めにフードを開始する事で、消化管の絨毛(栄養を吸収するところ)を温存出来る、回復が早くなるとのデータが出ており、その様な入院管理を行なっております。
その後、ふやかしたフードをモリモリ食べてくれるくらいに回復し、無事に退院してくれました!
今回は、誤食に対する内視鏡検査と腸切開オペについて書きましたが
ワンちゃんネコちゃんが届くところにウレタン製品やスポンジ製品を置かないように注意してください!
他にも良くあるのが、ジョイントマットなども噛み砕いて、大きなカケラが消化管に詰まった、、、もよく見る症例ですので注意して下さいねー!!
おひさま動物病院では、ワンちゃんネコちゃんが誤食した際の、対応も行っています。
誤食した直後〜3時間くらいなら催吐処置(吐かせる処置)を行う事や、
場合により、内視鏡検査や内視鏡での異物の摘出
さらに必要に応じて緊急で胃切開や腸切開手術も対応しております。
もし、ペットさんが
・何か誤食してしまった!
・何か食べた所は見てないけども何回も吐いてる!
などの症状がありましたらおひさま動物病院まで連絡して下さい。