会陰ヘルニア
5月の連休も終わり、日中は半袖で過ごし易い気温になってきた今日この頃、皆さん如何お過ごしでしょうか??
お陰様で、2月に開院したばかりの当院ですが、他院様からの紹介や、セカンドオピニオンで来られた患者様が大変多く、その症例の多さや豊富さに日々精進させて頂いております!!
今回のブログにて、その沢山の症例情報をなるべく簡単に症例報告という形で書いて行きたいと思います。
・ワンちゃんや猫さんの病気について興味ある方
・自分のペットさんが会陰ヘルニアになり、その病気について参考にしたい方
・へー、おひさま動物病院ってこんな手術とか治療出来るのかー、院長頑張ってるーって思いたい方(笑)
に是非とも読んでいただければと思います。
会陰ヘルニアって何??
お尻の筋肉、肛門の周囲(会陰部)の筋肉が薄くゆるくなってしまうために、その隙間から臓器や脂肪が飛び出し肛門の周囲の腫れが見られる病気です。
筋肉が薄くなってしまう原因に男性ホルモンが関与しているといわれ、未去勢の中高齢の雄の犬で多く発生します。
会陰ヘルニアの症状は??
筋肉の隙間に臓器や脂肪が飛び出てしまうため、外観で肛門の周囲が膨らみます。また、排便時に何度も踏ん張るしぶりなどの排便困難の症状を起こしますが、膀胱や尿道などが出てしまった場合、排尿困難や尿がでない等の緊急の症状が現れます。
会陰ヘルニアの治療は??
ほとんどの場合、外科的手術によって飛び出した臓器を元の状態に戻し、筋肉の隙間をふさぐ治療となります。病気の発生に男性ホルモンが影響しているため、去勢していない犬の場合は再発防止のために、同時に去勢手術を行います。
症例報告
9歳未去勢のヨークシャーテリアさん
排便時に何度も踏ん張るけど便が出ない、ひどい血便と下痢がでており、苦しそうとの主訴で来院。
検査をしてみると、大腸内に大量の便が!!
更に指診(直腸検査)を行ったところ、お尻から直ぐの所で行き止まりに!!
肛門のすぐ近くで直腸が蛇行し空間(憩室)が出来ており、そこに便が大量に溜まっている状態。。。
この蛇行が、便が出したくても出ない、ひどい血便の原因になっておりました、、
前立腺肥大症もみられ、更に結腸を圧迫し便が出にくくなっている事が考えられました。
更にお尻の右側の筋肉が薄くなっており、そこに変位した直腸が中から押してきて膨らみが!!
会陰ヘルニアと診断し、オーナー様とご相談の上治療プランとして
①去勢手術
②右側の会陰ヘルニア部分の縫合
③膀胱の偏位も僅かに確認されたため、精管を使って膀胱を正しい位置に固定する精管固定
④蛇行した結腸を元に戻すため、結腸固定
この4つを行う事にしました。
幸い術後の合併症も無く、再診時も傷の問題もなく抜糸できました。
また、術前に見られていた酷い血便や何度も踏ん張る仕草(しぶり)は見られなくなり、指診でも肛門から結腸まで蛇行なく憩室も見られなくなりました。
発症には、男性ホルモンの関与があるとされているため、若いうちに去勢をすることが予防につながります。
便の出方がおかしい
最近よく踏ん張っている時間が長くなった
血便や血尿が見られる
こんな症状が有れば早めに動物病院で見てもらいましょう!!
おひさま動物病院では、去勢手術についてのご相談はもちろん、会陰ヘルニアについてのご相談も承っております。