猫の乳腺癌に対する外科手術

先日、神奈川県で大きな地震があったり、今日は台風が来ていたりと、

自然の脅威を感じる今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか??

 

 

先日の地震があった時、僕は近くのコンビニのコピー機で必要な書類を印刷していたのですが、、、

 

 

 

コンビニ全体が床下から突き上げられる様な強い揺れがあり、物凄くビックリしてコピー機に思わず掴まっていました。

 

 

ふと隣の雑誌コーナーにいる知らないオジサンをみてみると、震度4くらいの縦揺れの中、一切ブレずにヤングジャンプを読み続けてましたねー(^^)。

 

地震の最中も目が離せない、面白いマンガがあったのでしょうかね〜笑(^^)。

 

 

 

さて、今回も症例報告で、「猫の乳腺癌に対する外科手術」について書いていきたいと思います!!

 

まず、猫の乳癌腺とは、、

 

猫さんに発生する悪性腫瘍の中で最も多い腫瘍になります。

 

・猫の乳腺腫瘍は90%以上が悪性であり、良性乳腺腫瘍が多い犬とは大きく異なります。

 

・また猫の乳がんの悪性度は高く、初期からリンパ節転移や肺転移を認める症例も多くみられます。

 

猫の乳がんは発生に女性ホルモンが関連していることが分かっており、早期避妊手術で予防ができる腫瘍の代表です。

 

・避妊手術を6ヵ月齢未満で実施した場合発生率は約90%ほど低下し、7~12ヵ月齢に実施した場合では86%ほど低下すると言われております。

 

 

◯ネコ 雑種 16歳 未避妊メス

 

主訴 お腹に出来物がある、凄く舐めている

 

 

オーナー様曰く、最近毛繕いが増えたなーと思ったらお腹に出来物があるのに気づいた!とのことで、早速見せてもらうと、、

 

 

右の乳腺上にしこりが多数あります!!

 

 

(写真はオペ前のものです。)

右の第2乳頭付近に0.8センチ、第3乳頭に1.0センチと1.8センチほどの合計3つのしこりが見られます!!

 

 

すぐさまレントゲンやエコーの画像検査も行い、

今の所、明らかな肺への転移像がない事を確認。。。

 

まず、針を出来物に刺して細胞を調べる針生検を行う事に。

 

 

上皮系の細胞がシート状にみられ、さらに細胞の異形成や核の大小不同などの悪性所見もそこそこみられています。。。

 

オーナー様とも話し合い、

・乳腺腫瘍が疑われること

猫さんの乳腺腫瘍では9割が悪性腫瘍であること

早期から肺やリンパ節に転移している場合も多く、なるべく早く手術し、その後抗がん剤などのケアも必要であること

などを説明し、手術をすることに!

 

 

 

また、右側の乳腺にのみ腫瘤がみられる為、

猫の乳腺がんステージ1疑いに対する片側乳腺切除及び同時に避妊手術を実施しました。

 

高齢の猫さんの為、少しでも麻酔の負担を減らすために早めに来院してもらい、静脈点滴を行います。

これにより、手術前から少しでも腎臓に対する麻酔の負担を減らします。

 

そして全身麻酔をかけて、まずは避難手術から、、、

 

手術前の検査により卵巣に大きな嚢胞や子宮水腫疑いも見つかっておりました。

 

実際見てみると、

かなり大きな嚢胞です!さらに子宮水腫も!

 

更に乳腺腫瘍を切除していくのですが、ここでおひさま動物病院の最新機材 アクロサージの出番です!!

 

こいつです!

 

アクロサージを使う事で、切除と止血を同時に行い、スピーディーかつ安全に乳腺を切除可能です!!

 

特に今回は高齢の猫さんなので、麻酔時間の短縮や出血量を抑えることに凄く役立ちます(^^)

 

そして右側の乳腺を切除していくのですが、猫さんの乳腺ガンで転移しやすい脇の下のリンパ節も、同時に切除していきます!!

 

 

脇のリンパ節は、深胸筋という筋肉の下になっており、かな〜り深いところなので一部筋肉を切除し慎重に見ていくと、、、

 

 

脇の下に腫れが!!!

 

近くに大きな血管や神経もあるので慎重に分離、切除していき、乳腺とくっついた状態で無事に取り切りました!!

 

黒い縫合糸が付いてるところに腋窩リンパ節がくっ付いてます。

 

そして、脇からお尻の近くまである切除部位を縫合していきます!

 

 

麻酔からの目覚めも問題無く、その後数日点滴入院し、点滴での痛みのコントロールや腎臓のケアを行い、無事に退院出来ました!!

 

 

抜糸後の様子です。

 

抜歯が終わることには、

物凄く動き回るようになった!食欲も凄く出て来ている!!との嬉しい報告もありました(^^)

 

また、今回切除した乳腺の病理検査の結果

・乳腺癌

・完全切除が出来ている

・脇のリンパ節の腫れは転移ではなく反応性のものでしたが、別で一緒に切除した鼠蹊部リンパ節には転移がみられる

 

との結果でした。

 

オーナー様と話し合い、現在抗がん剤を使った身体への負担の少ないメトロノミック療法 分子標的薬を含む治療を行っており、現在のところ明らかな転移もなく、ケアを続けております。

 

 

 

おひさま動物病院では、

 

猫さんの乳腺周りにしこりがあった!!みて欲しい!

 

・高齢だから麻酔を諦めていたが相談したい!!

 

・今回のブログを見て、乳腺ガン予防する為に避妊手術を受けたい!

 

などありましたら是非一度ご相談して頂ければと思います!