前十字靭帯断裂に対する整復術
大変な暑さに見舞われてます今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか??
本日は、「前十字靭帯断裂に対する整復術」の症例報告になります!!
以前の院長ブログで報告しました「膝蓋骨内方脱臼に対する整復術」に続く、整形外科第二弾です!!
12歳 MIX犬 避妊メス
主訴 左後ろ足を挙げっぱなしにしている。
お話を聞くと、前日夜にボール遊びをしていて、後ろ足を滑らせてしまい、それ以降ずっと左後ろ足を挙げているとの事でした。。。
まず左後ろ足を触診をしてみると、、、
膝蓋骨の内方脱臼有り、
膝を伸ばしてみると、、、伸展痛有り!
更に、膝のズレを確認する脛骨圧迫反応やドロワー試験も見られます!!
さらにレントゲン、エコー検査を行います。
膝の下が前方へ変位しています!
さらに膝蓋骨もズレており、元々膝に負担が掛かっていた事が伺えます。
左後肢前十字靭帯断裂、及び膝蓋骨内方脱臼と診断
よく動物病院ではパテラが有ります!などと略されて言われていますが、、
膝蓋骨内方脱臼(パテラ)のグレードが高いワンちゃんでは、10歳前後で約5頭に1頭の割合で前十字靭帯を断裂してしまう、、、というデータも出ておりますのでとても注意が必要です!
ヒトでは、スポーツ中での怪我などで痛めることの多い印象の膝の前十字靭帯ですが、膝蓋骨内方脱臼を持っているワンちゃんでは日常の中でも断裂する恐れがあります。。。-_-b
オーナー様との相談の上、前十字靭帯断裂に対する関節外法による整復オペと膝蓋骨内方脱臼の整復オペを行う事に!!
まず、左膝を切開してみると、、、
炎症によって増えた大量の関節液と断裂した前十字靭帯が、、、
矢印:完全断裂した前十字靭帯が見えます。
関節内の前十字断端や半月板の処置をし、膝蓋骨内方脱臼の整復を行います。
今回も、
・膝蓋骨を内側に引っ張る筋肉の切断
・膝蓋骨の収まる滑車溝を深くする増溝術
・膝関節を包む筋膜を外側に引っ張る縫縮術
この3つで整復します。
さらに今回は、前十字靭帯断裂に対する整復もあります!
今回は関節外法(ラテラルスーチャー法、FLO法)を行うのですが、
簡単に言うとナイロン糸を人工靱帯として使い、前十字靭帯断裂による膝の不安定感を落ち着かせる手術になります!!
膝の裏にある種子骨にナイロン糸を通し、起点にします。
更に膝の下の基点として脛骨粗面にドリルで穴を開け、ナイロン糸を通します。
この通したナイロン糸同士を結紮する事で膝の上と膝の下を固定します!!
術後のレントゲン写真
膝蓋骨が中央に収まっております。
手術後3日ほどバンテージを行い炎症を抑えて、術後5日〜7日ほどで退院という流れで行っております。
その後、2ヶ月ほどリハビリ期間としてお家でご家族の協力のもと、回復に勤めてもらってます。
今回のワンちゃんもとてもご家族がリハビリを頑張ってくれて、術後1ヶ月ほどでほぼ問題無く歩行が出来るまで回復してくれました!!
今回は「前十字靭帯断裂に対する整復」について書きました!
お家のワンちゃんで
・膝がズレやすいと言われて心配だ
・最近膝を上げることが多く見られる
・急に後肢を痛がっている
などが有りましたら是非ともおひさま動物病院まで!
今回は膝の手術に関して書いておりますが、もちろん症状や必要に応じて、手術は行わず、内科治療を行う事も多くあります。
是非とも一度ご相談下さい!