会陰ヘルニア整復オペ②!!
6月も後半になろうとしてますが、大和市はまだ梅雨入りせず、30℃近くの暑い日が続いております。
今年の梅雨は中止になったのでしょうか??笑
私事ですが、少し身体を動かそうと趣味のブラジリアン柔術という格闘技を約2年半ぶりに再開したのですが、、、
暑い気温の中、半袖短パンで道場に向かい、厚手の長袖長ズボンの道着に着替えて、ゴツいオジサン達と元気に運動する!!
、、、という、一般の方から見たら理解の難しい事かもしれませんが笑、とても楽しく充実した日々をすごしております。
さて、今回は症例報告:会陰ヘルニア整復術について書いていきたいと思います!
前回の会陰ヘルニアについての症例報告もかなり反響があり、
「ブログ見ました!うちの子の会陰ヘルニアも見て下さい!」
との事で来院される方も多かったので、今回もまた参考にして貰えたらと思います。
10歳 MIX犬 9歳時に去勢済
主訴
他院にて会陰ヘルニアと診断され、おひさま動物病院でセカンドオピニオン、必要であればオペを希望。
院長ブログを見て、当院での会陰ヘルニアの詳しい検査やオペの必要性を知りたい!とのことで来てくれました!
まず見てみたところ、、
お尻の右がプックリと膨れております。
会陰ヘルニアとは、、
会陰部(お尻)にできた筋肉の裂け目(ヘルニア孔)に脂肪や内臓が入り込む病気です。
初期は犬の肛門周りが膨らみ、便が出にくくなる事などがみられますが、より進行した場合ヘルニア孔が広がり、腸や膀胱などが入り込むと緊急性が高い状態になります。
エコーを当ててみると、、、
お尻の膨らみ(ヘルニア内)の中に膀胱が!!!
更にレントゲンを見てみた所、、
肛門の位置も尾側に変位し、お腹の中も便が出にくくて、大腸内に便とガスが細かく溜まっております。。
更に肛門に指を入れて確認(指診)してみると、、、
おしりの膨らみがある右側に直腸が蛇行し、そこに便が溜まって、出しにくくなっています!!
オーナーさんと現状についてお話しし、特にお尻のヘルニア内に膀胱が入り込んでいる事で、膀胱や尿管の損傷などの危険がある事から整復手術を行う事に!!
オペが決まり、早速開腹オペを始めてみると、、、
普通お腹を開けるとゴロンと膀胱が見えるのですが、全く膀胱が見られません!!(-_-)
それもその筈、、
お尻のヘルニア内に入ってしまっているので、膀胱は勿論、その他消化管もまとめてみーんなお尻の方に移動していました〜(p_-)
術前にしっかりと検査をしていた為、想定しておりましたが、ここまで移動しているとは、、、
特に尿道などを傷つけないように、カテーテルを入れながらゆっくりと膀胱をお腹の中へ移動させます。
今回は去勢済みの子なので、精管を使った固定が出来ない為、再脱出しないように直接膀胱の表面を腹壁に縫い付けます。
(膀胱固定)
更にお腹の下の方で蛇行していた結腸も真っ直ぐになるように元の正しい位置まで引っ張って腹壁に縫い付けます!
(結腸固定)
助手に入ってもらい、腹壁に縫い付けています。
こうしてお腹の方の手術を終えて、ようやくお尻のヘルニア部分の縫合に取り掛かります!!
なかなか長い道のりですが、ヘルニア内をしっかりと腹腔内へ戻す処置をする事で、再脱出のリスクを減らします。(^^)v
お尻のヘルニア部分を開けると内臓脂肪が、、、
内閉鎖筋、仙結節靭帯などを使い閉鎖していきます。
(ヘルニア部の縫合)
この子も男性ホルモン性や加齢に伴い、お尻の筋肉やお腹の筋肉がペラペラになり、縫合部の裂開に注意が必要でした。。。
無事に手術を終え、長い事悩まされていた便の出にくさが解消され、順調なようです!!
術後2週間、抜糸時の様子。
「お尻の再脱出もなく、快便出ています!」との事です。
会陰ヘルニアの予防には若いうちの去勢手術が有効です。
今回は会陰ヘルニアの整復手術に関しての症例報告でした!!
このブログを見て、
・うちの子のお尻もチェックして欲しい!
・最近、便の出が悪い。お尻膨れてる?
・高齢だが去勢してない、相談したい!
などなど有りましたら、是非ともおひさま動物病院までご相談して下さい!